山の幸・海の幸に恵まれ、海外との交流が多かった長崎には、独自の食文化が育まれています。数ある料理の中でも長崎グルメの代表といえば、卓袱(しっぽく)料理ではないでしょうか。卓袱とは、テーブル(卓)と、テーブルクロス(袱)のことで、大皿に盛られたさまざまな料理が丸いテーブルに運ばれ、大勢で集まって楽しむご馳走をそのように呼びます。和食・中華料理・洋食が混在しているのが特徴で、海外との交流が盛んだった長崎ならではの郷土料理といえるでしょう。
長崎ちゃんぽんと皿うどんも、長崎グルメでははずせない定番です。1899年頃、どちらも「四海樓」という中華料理店を経営していた陳平順氏が考案したといわれています。長崎ちゃんぽんは、中国からの留学生に栄養たっぷりで美味しいものをリーズナブルな値段で食べてもらいたいとの思いから、野菜や肉の切れ端を使ってボリュームたっぷりのメニューとして提供していたとされています。ちゃんぽんの名称は、中国語で簡単なご飯を意味する「喰飯(シャンポン)」から転じたという説や、ポルトガル語で混ぜるを意味する「チャンポン」を由来とする説などがあります。
皿うどんは、スープがないちゃんぽんです。基本的にちゃんぽんは丼鉢などに盛られるのが一般的ですが、スープなしの皿うどんは、平らな皿に盛られて提供されました。それが当時の人々には新鮮で、そこから皿うどんと呼ばれるようなったと伝えられています。また、現在は細くてパリパリとした食感の麺が増えましたが、当初は太くてコシのあるちゃんぽん麺を焼き上げたスタイルが主流でした。とはいえ、現在でも細麺と太麺があり、長崎の人々は「細麺皿うどん」と「太麺皿うどん」と呼び分けているそうです。